詰め物・かぶせ物はセメントで歯に接着しており、長い年月がたつと劣化したり、詰め物と歯の間に虫歯が出来たりして外れてしまうことがあります。
詰め物・被せ物が取れてしまったときは、早めに当院にお越しください。応急処置として患者さん側で出来ることは、食事の際に出来るだけ詰め物や被せ物が外れた歯で噛まないようにし、歯みがきもやさしくブラッシングして歯が痛まないようにすることです。
もし可能でしたら、外れてしまった詰め物や被せ物を歯医者にご持参くださいね。また、痛みがある場合は早めに治療を受けられることをおすすめします。
詰め物がとれたままで長期間放置すると歯にとって危険な状態になります。
歯に部分的に詰めるものをインレーといいます。下の絵のように、虫歯の部分を削って、歯型を取ってインレーを詰めます。
虫歯を削るときには象牙質という歯の成分の中では非常に柔らかい部分を削ります。
詰め物が取れてしまった箇所は窪みに食べかすがたまりやすくなるため、虫歯になりやすい状態になります。そして象牙質からできたむし歯はとても進行が速いのです。
更に悪いことに、一度削った箇所は歯の神経に近いために、虫歯が神経に届いてしまった場合には、歯の神経を取らなくてはいけなくなります。
歯の神経を取ると、歯の強度が落ちたり感染しやすくなり、将来的には抜歯に繋がる等の欠点があります。⇒詳しくはこちら
歯を守るために、詰め物が取れたらすぐに治療を受けて詰め物を再セットするか、新しく作らなければいけません。その日のうちに治療するのがベストですが、時間的な余裕がない場合は、なるべく早く歯医者を受診して処置を受けて下さいね。
1. 取れたところが虫歯になっている。
2. 歯が欠けてしまった。
3. 詰め物(インレー)が腐食している。
4. 詰め物がピタッと戻らない
このような場合は、詰め物を新しく作りなおさなければいけません。
歯に詰め物をする治療で最も大切なことは、詰め物が取れないことと、詰め物が再び虫歯にならないこと、この2つに尽きます。
詰め物が取れないために大切なポイントは歯科医師による歯の削り方です。
歯を削る際にはむし歯を少しでも取り残してはいけませんし、むし歯をきれいに取り切るだけでなく、そこに入れる詰め物の接着力が大きくなるように削らないといけません。
詰め物が再び虫歯にならないために当院がしていること
一度詰めた詰め物がむし歯になる最大の理由は、詰め物と歯の間に隙間があることです。隙間ができる原因は型を取った時に、その型が変形してしまうことです。型取りの後、シリコンで取った型に石こうを流して模型を作りますが、石こうを流す前に必ず保湿箱で30分おいています。 こうすることによって、取った型は更に変形しにくくなります。
詰め物が取れた部分が虫歯になってしまっていた場合は、歯を削って新しい詰め物を作る必要があります。歯を削った時に痛みが出た場合にも、神経を取ることがあります。
患者さんにわかりやすく説明するために神経と呼んでいますが、正式な名前は歯髄(しずい)と言います。
歯髄の中には神経と動脈と静脈があります。歯の表面にはエナメル質があり、その内部には象牙質という柔らかい組織があります。更にその中を歯髄が通っています。
神経を取ってしまった場合、3つのデメリットがあります。
1. 神経がないと痛みを感じませんので、虫歯が大きくなっていても気づきません。
2. 歯に栄養がいかなくなり、歯がもろくなります。
3. 歯の中から動脈静脈といった血流がなくなるので、歯の内部に白血球がいなくなります。
みなさんもご存じのように、白血球にはバイ菌をやっつける作用があります。少し大きいバイ菌をやっつける白血球にはマクロファージ等の名前がついています。白血球は免疫を担当しており、歯の内部から白血球がいなくなってしまうと、感染にとても弱くなってしまう為、注意が必要です。
神経を取ることの大きなデメリットはバイ菌に感染する危険が大変高まるということで、歯の健康の為にはなるべく避けたいものです。
かぶせ物は歯に義歯を被せて治す方法で、下の図のように歯を全周に渡って削った後に型取りをし、セラミックや金属で作った義歯を被せます。
1. 接着剤が劣化して力が弱くなって取れる。
2. かぶせ物と歯の間の虫歯が原因で取れる。
3. 被せた歯の虫歯が元々大きく、歯を大きく削らなければならなかったためにかぶせ物の接着面積が十分に得られなかった場合。
など色々ありますが、取れた歯は早急に戻して最後接着するか、新しく作って被せなければいけません。放っておくと、いくつか問題があります。
また、かぶせ物が割れる場合もあり、歯ぎしりや食いしばり等が理由として考えられます。
1. むき出しになった歯が虫歯になる。
2. 取れた歯の隣の歯が動いてきたり、噛み合わせの歯が伸びてしまう。
3. 取れた歯自体が伸びてきたり、動いてしまう。
4. かぶせ物が取れたために噛みにくくなり、反対側ばかりで噛んだ結果、顎の関節が痛んだり、長い期間取れたままにしておくと顔がゆがむこともある。
取れたかぶせ物をそのまま使える可能性もありますが、上記の1〜3の場合は新しく作り直さないといけません。